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2014-02

(4)ド雌ティック・ヴァイオレンス - 2014.02.09 Sun

※ 閲覧には十分注意が必要です。少しでも不愉快に感じましたら、読むのは止めて画面を閉じて下さい。

(1) (2) (3)ここは地獄の1丁目 からの続きです。


ハットルグリムス教会



「しつけ」という名の「虐待」を受けたおとう。
子供の心に闇を植え付け、恐怖心で支配する虐待。


彼の母親は、いわゆる「 女 」でした。
女の性の部分が強くて男無しでは生きられない人。

義母はおとうが小学校にあがる前に、最初の離婚をしたそうです。
離婚後、他の男性とすぐに再婚するのですが、実はこの再婚相手が問題だったのです。

小学1年生のおとうと5歳の弟。
血の繋がらない2人の子供の義父になった、この再婚相手が虐待の加害者だそうです。


襟首をつかまれて柱に何度も頭を打ち付けられる。
全身を殴られ蹴られる。

ひどい時など…
まだ小さい弟は、義父の頭上で高く持ち上げられ反動をつけてから、ふすまに叩きつけられ、白目をむいて口から泡を吹いたそうです。
骨折したり、近所の人が警察を呼んだことも何度かあったそうで…。

その頃から毎日、米を研ぐのも味噌汁を作るのも掃除をするのも子供の仕事だったそうです。

母親は夜の商売をしていました。
飲み屋さんではなく…体を使った、ご想像通りの仕事です。
夜になると母親はいなくなり、幼い子供二人と義父だけで過ごすのです。

一番の恐怖は夕飯の時間。
シーンと静まり返った食事時。
箸をはこぶわずかな音。かすかに聞こえるそしゃくの音。一切の無駄な音は無いのだそうです。
…そこでうっかり、食べ物を箸で口の中へ運ぶ前にテーブルにこぼしたら…
その場で容赦ない平手打ちが飛び、罵声と怒号が響き渡る。

いつも夕飯は血の味がしたそうです。


母親は知らなかったのか?
いいえ、知っていました。

「お前たちが良い子にしてないからだ。お前たちが悪い!」
「手を煩わせるな。お前たちのお義父さんなんだからうまくやっていけ」

体中は常にアザだらけ。数年間それが続いたそうです。
そして小学校を卒業し、中学校生活も後半になった頃、ある出来事が起こります。

義父に女が出来たのです。
別れを切り出されて母親は逆上。
なんと息子たちの目の前で、包丁を握りしめ義父に刃を向けたのです。
髪を振り乱し、刃物を振り回して義父に叫びまくったそうで…。


皆さんだったら、どうでしょうか?
子供の前で女の部分を見せますか?
自分の子が虐待されてるのを知ってて、見て見ぬふりをしますか?
子供たちが、「 お母さんと僕たちだけで暮らしたい 」と泣いて訴えても、「お前たちが我慢すればいいんだ」と言って、自分の欲望を優先しますか?


義母は結局、捨てられて離婚になったそうです。

ところが。
その後またも義母は、気性の激しいDV男と3度目の結婚をします。

3人目と結婚した頃にはもう子供たちも大きくなっていたので、その再婚相手から身体的な暴力を振るわれるようなことはあまり無かったようですが、言葉の暴力は執拗に毎日続いたそうです。

その後、自立して成人し結婚もしたおとう。
しかし…。

虐待は遅行性の、見えない毒です。猛毒です。
時間をかけてゆっくり進行していきます。

自覚症状が出る人もいれば出ない人もいます。
症状が重い場合も軽い場合もあります。

社会で仕事や生活をしていく上において、重要な判断力や適応力が身につきにくいのです。
それは人間関係にも直結してくる問題。
虐待された人が全員そうかというと必ずしもそうではありませんが、やはり統計的に確率は高くなります。

少し前までの私は、スピリチュアルや精神世界なんて全くの門外漢でしたから、起きている現象についてのみ、ただ考察するしかありませんでした。
だからこそ、わからなくて悩むのです。
人生にはなぜこんな辛いことが起こるのだろうか、と…。



ダヴィンチ



話を進めて・・・場面は前回に戻ります。

深夜に鳴り響いた電話。
受話器から聞こえる姑の投げやりな声。
「もう身投げして死ぬ」

深刻な面持ちで急いで出かけるおとう。
布団に入っても腹立たしさで眠れない私。

どうせ3番目の亭主とケンカして飛び出して来たんでしょ…


死ぬ死ぬって言う人に限って死なないんだよ!
死ぬ気なんてないくせに!!



…その時の、私の偽らざる気持ちです。

事実その通りでした。
3番目の結婚相手は、義母にかなりひどい暴力を振るうようになってまして、これまでに何度かその場を飛び出して来ることがありました。その度にウチに来ました。
しかし、姑はすぐに寂しくなって、またDV亭主の元へ戻るのです。
おとうや弟がいくら止めても帰っていくのです。

今回もそうだろうと思っていました。
でも、一向に帰ろうとしません。姑はこの時、私たちのアパートに居候している状態です。
(六畳一間から三部屋あるアパートに引っ越してました)

いきなり姑に言われました。
「ヤミコさん、悪いけど車貸して」

その時の私が乗っていた車は、乳飲み子抱えて大変だろうからと、知り合いの方のご厚意で何とタダで譲り受けたものでした。
車が来て乗り始めてから、まだ一か月ほどしか経っていません。
正直言って絶対に嫌でした。

でも、おとうが言います。

お 「大丈夫だよ、この人運転歴長いから。」
ヤ 「…でも何で車がいるの?どこ行くの?」
姑 「仕事探しに行くから今日だけ貸して」
ヤ 「仕事?どういうこと?」
姑 「離婚するから、これから金がかかるの」
ヤ 「……本当に本気?」
お 「頼むから協力してやって」
ヤ 「…じゃあ、今日だけね」

何だか嫌な予感がする…。
しかし、断りたくても断れない嫁の立場。
今までの経緯から考えてみても、どうせ男の元へ帰っていくだろうとしか思えませんでした。
最後はなんだかんだ言っていつもそうでしたから。

その日の夕方。
仕事を探すと言って出て行った姑から電話がありました。

「ごめんねヤミコさん。悪いけど自損事故起こしちゃってね。大破したの、車。」
本人はかすり傷一つなく、ピンピンしてました。

……

私は一歳に満たない赤ん坊を抱え、つわりもある身重の体。
この状態で車がないのは非常に大きな痛手です。


どこに怒りをぶつけたらいいのか。
怒る私が悪いのか。
人間ができていないから腹が立つのか。

そして次の日。
姑はDV亭主のもとへ早々に帰って行きました。

その時の私は、この姑を許す寛容で広い心を、どうしても持てませんでした…。


<次回へ続く>



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